2025年4月にリリースされたMrs. GREEN APPLEの新曲「クスシキ」。その不思議なタイトルと奥深い歌詞で多くのリスナーが心を掴まれています。
言葉になじみのないタイトルの意味や、曲に込められたメッセージとは何なのでしょうか。
この記事では、「クスシキ」の歌詞の意味を紐解き、タイトルの由来や曲が伝えるテーマ、そしてSNS上の反応を詳しく紹介します。
クスシキとは?ミセスの配信限定シングル
この曲は、日本テレビ系アニメ『薬屋のひとりごと』第2期第2クールのオープニングテーマとして書き下ろされたタイアップ曲でもあります
Mrs. GREEN APPLEにとって約2か月半ぶりの新曲であり、アニメの世界観に合わせてオリエンタルな雰囲気を楽曲に取り入れるなど、新たな挑戦が詰まった作品となっています。
Mrs. GREEN APPLEの曲は、一度聞いただけでは解釈が難しいと感じる人が多く「クスシキ」も例にもれず、ネットではタイトルや歌詞の意味について疑問に思う声が上がっています。
(出典:TOWER RECORDS)
「クスシキ」タイトルの意味とは?
まず気になるのがタイトル「クスシキ」の意味です。
古語の「くすし」は「神秘的な」「摩訶不思議な」という意味を持ち、実は現代の「薬(くすり)」の語源になった言葉でもあります。

「クスシキ」というタイトルには、「不思議で神秘的なもの」というニュアンスが込められているのかな
タイトルに薬のルーツである言葉を選んだ背景には、この曲がタイアップしているアニメ『薬屋のひとりごと』の存在があります。薬は人を助けることもあれば、使い方次第では毒にもなり得るものです。
同様に「クスシキ」という言葉も、ミステリアスで美しい響きの中に、どこか危うさや奥深さを感じさせます。そのため、タイトルから既に不思議な雰囲気と表裏一体のテーマ性が漂っており、これから始まる物語への期待感を高めてくれます。
歌詞全文から読み解くメッセージ
では、肝心の歌詞にはどんなメッセージが込められているのでしょうか。
摩訶不思議だ 言霊は誠か
冒頭の歌詞ではこのような印象的なフレーズが登場し、何やら只事ではない不思議な物語が始まる予感がします。
- 「摩訶不思議だ」とは「とても不思議だ」という意味で、いきなり世界の神秘を嘆くような言葉ではじまります。
- 「言霊は誠か」という問いかけは、「言葉に宿る力(言霊)は本当なのだろうか?」という意味で、言葉の持つ真実性を疑っているようにも読めます
この一節では、世界の不思議さや、言葉に宿る力の真実性を問いかけています。現実には、嘘をつく人が愛される皮肉なエピソードも語られ、正直者が報われない世の中への疑問が浮かびます。
歌詞が進むと、今度は「愛してる」と「ごめんね」という二つの言葉に焦点が当たります。
愛してるとごめんねの差って まるで月と太陽ね
昼と夜ほど異なるこの2つの言葉を並べ、愛情と謝罪が同時に存在しにくいことを示しています。このあとには、「また明日言えばいい」と後回しにしがちな言葉への後悔も描かれ、リスナーにとっても刺さる部分です。
実際この直後の歌詞では、「また明日会えるからいいやって何一つ学びやしない魂も」と続きます



忙しい日々の中で「いつか伝えればいい」と後回しにしていると、結局何も伝えられないまま後悔するかもしれない…そんな戒めにも感じられるね。
サビではもう一つ、言葉の対比が出てきます。
愛してると大好きの差って まるで月と月面ね
月そのものと月の表面という表現は少しユニークですが、「愛してる(=月そのもの)」という言葉と「大好き(=月の表面)」が、一見近いようで実は深さが違うことを示唆しているのではないでしょうか。
例えば「大好き」は比較的気軽に使えるけれど、「愛してる」は心の核心部分(奥深く)に触れる言葉なので滅多に使わない…といったように。
似ているようで実は深さが異なる感情表現を通して、言葉に込める想いの重さを浮き彫りにしています。また、飲み込んだ言葉が心の中に残り続ける様子も描かれ、伝えられなかった後悔や未練が滲みます。
曲の後半では、物語が次の章へと移るような描写がなされています。
めくれば次の章 石になった貴方の歌を 口ずさんで歩こう
ページをめくって次の章へ進むように、歌詞の世界も新たな段階に入ります。大切な人を失った後も、その存在を胸に歩み続ける様子が描かれます。
病になった私の歌を 口ずさんで歩こう
今度は相手が自分を想いながら歩く姿が想像されます。
ここではお互いに相手の存在が自分の中に歌となって生き続けていることが示唆されており、生と死、現世と来世を超えたつながりが感じられます。
クライマックスの歌詞では、印象的な言葉が畳み掛けるように現れます。
愛してるよ ごめんね じゃあね まるで夜の太陽ね
矛盾する言葉たちが一気に並べられた上にありえない「夜の太陽」という比喩に、愛と別れの切なさ、どうしようもない感情が込められています。
そして最後にタイトルにも呼応するように「クスシキ時間の流れで大切を見つけた魂も 貴方をまた想う 来世も」と歌われます。
どれだけ時が流れ生まれ変わろうとも、魂はあなたを想い続けると締めくくられます。まさに永遠に続く愛を示唆する終わり方で、この物語が輪廻転生のスケールで描かれていたことが明らかになります。
以上のように歌詞を追ってみると、「クスシキ」は言葉にならない想いと永遠の愛を描いた物語であることが分かります。嘘と真実、愛の言葉と謝罪の言葉、現世と来世…といった対比を通じて、伝えられなかった気持ちの痛みやそれでも消えない愛情が表現されています。
大切な人に言えなかった言葉や、取り返しのつかない別れを経験した人にとって、この歌詞は心に迫るものがあるでしょう。次の章では、こうした歌詞に込められたテーマをさらに深掘りして考察してみます。
「クスシキ」に込められたテーマを考察
「クスシキ」の歌詞から浮かび上がるテーマをまとめると、主に次のようなものが感じられます。
- 神秘性と矛盾
- 生と死を超える愛
- 愛と薬(癒し)の二面性
それぞれみていきましょう。
神秘性と矛盾
タイトルや歌詞全体に流れる摩訶不思議な雰囲気。たとえば「夜の太陽」という矛盾したイメージが象徴するように、世の中の理不尽さや心の中の葛藤が神秘的な比喩で語られています。
物語調の不思議な描写によって、人生の中で説明のつかない謎や矛盾に向き合うテーマがにおいます。
生と死を超える愛
ミセスの公式コメントによれば、この曲は「今世を超え来世でも変わらない愛」をテーマに書かれています。歌詞に現れる「今世も」「来世も」という言葉通り、輪廻転生レベルで永遠に続く愛が描かれているのが大きな特徴です。(出典:TOWER RECORDS)
これは「今生で伝えきれなくても、来世でまた想うほどの深い愛」という、人智を超えたテーマと言えるでしょう。
愛と薬(癒し)の二面性
タイトルの由来が薬であることからも察せられるように、この曲には癒しと毒、表と裏という二面性のテーマも込められていそうです。
実際ファンの中には、「この楽曲では『恋愛』も薬と同様に『表裏の関係がある』ことを歌っているのでは」と解釈する声もあります。愛は人を救い心を癒す薬にもなり得ますが、深すぎる愛ゆえに生まれる嫉妬や不安は心を蝕む毒にもなり得ます。
愛は人を救う一方で、苦しみにもなり得るもの。そんな複雑な感情が、歌詞と音楽に込められているようです。
「クスシキ」は、神秘的な世界観の中で永遠の愛や人の心の裏表を描いた楽曲です。比喩や物語的な歌詞を通して、愛の喜びや苦しみ、そして希望が繊細に表現されています。



大人になり様々な経験を積んだ今だからこそ、この曲のテーマがより深く胸に響くのかもしれないね。
SNSやリスナーの反応
特に社会人世代からは共感や感動の声が上がっています。いくつか代表的な反応をまとめてみましょう。
共感の声
大人になっても『愛してる』も『ごめんね』もなかなか言えないから響いた
私も旦那さんや親には素直にごめんねって言えないし、愛してるとは照れくさくて言えない
「クスシキ」の歌詞が大人にとっていかに難しい言葉のやりとりを描いているかに共感しています。
感動や絶賛の声
曲を聴いてなんだか泣けてしまった
クスシキのMVが最高すぎる
特にMV(ミュージックビデオ)と併せて曲を視聴したファンからは、「気づいたら涙が出ていた」といった感想が上がっています。
切ない物語性と壮大なCG映像の組み合わせが感情を揺さぶり、思わず涙してしまったファンも少なくありません。
考察や解釈
歌詞の意味についてSNS上で議論するファンも多数いました。
例えば、ラストに繰り返される「ゆいゆい」というフレーズについて「中国語の**月(yuè)のことではないか」というユニークな推測や、「沖縄の方言の『結(ゆい)』という言葉に関係ある?」など、その意味を巡って様々な考察が飛び交いました。
明確な答えは出ていないものの、この不思議な響き自体が曲の世界観を象徴していて「余韻がすごい」「頭から離れない」といった声も上がっています。
また、楽曲のクオリティ自体に対する称賛も非常に多いです。中毒性のあるメロディーや迫力あるアレンジに魅了された人が続出しました。ファンにとっても期待以上の仕上がりだったようです。
このように、「クスシキ」は歌詞の内容についての議論だけでなく、曲そのものの魅力でも多くの人を惹きつけています。人生経験と結びつけた感想も見られ、年齢や立場を超えて多くの人の心を動かしていることが分かります。
まとめ
Mrs. GREEN APPLEの「クスシキ」は、言葉では表しきれない感情や、永遠に続く愛のかたちを描いた楽曲です。歌詞に込められたメッセージは、愛する人への思いや後悔、そして来世にまで続くようなつながりを、幻想的な表現で伝えています。
また、癒しと毒という“薬”のような恋愛の二面性もテーマとして感じられ、心をじんわりと揺さぶる力を持っています。SNSでも「共感した」「泣いてしまった」といった声が多く、大人になった今だからこそ胸に響く歌だといえるでしょう。
(サムネイル画像出典:TOWER RECORDS)